別々の住む世界が違ってしまった

2ヶ月ぐらいして、日産の時の友人が、お見舞いに来てくれた。いつまでも部屋にいるとダメだから、外に出て食事に誘ってくれた。

 

だが実家に帰ってくると彼女の事ばかりで、毎晩寝て朝を迎えると、枕が涙で濡れてしまっている。これは今でも毎日である。

 

彼女の居なくなってしまった事を受け入れたくないから、彼女の実家や待ち合わせ場所には行けなかった。携帯番号に連絡するのも怖かった。

 

意を決して行っても、玄関から中には入れなかった。ご両親からも、無理せず良いんだよ。いつでも待ってるからとおっしゃっていただけた。お墓の場所は、元々の故郷の栃木県にお墓を建てる予定だからとおっしゃって、いつかは栃木に戻られるとのことであった。

 

少しずつではあるが、一歩ずつ、警察官の夢に向かって勉強を始めた。遊んでいるわけにもいかないので、携帯電話の販売のバイトを2件掛け持ちで、時間があるときは警察官採用試験の勉強と体力づくり。

 

彼女との約束を果たすために必死で勉強と体力作りに頑張った。

 

この頃から、不思議な体験をする様になった。

以前からちょくちょくあったのだが、より一層強くなった。このお話は時期が来た時にお話しさせて頂きます。

 

そして試験の申し込み期間が始まった。

 

自宅に警察官採用試験受験番号が発行された郵便が届いた。

 

親に先に受け取られ、猛反対された。ただでさえ、辛い思いして、あの日の出来事があるのに、わざわざ思い出す様な現場で働くのか?と。

 

説得しても全然ダメだったが、私は、彼女と約束したのだ。彼女の分も一緒に頑張ると。同じ辛い思いする人が一人でも少なくなることを目指すべく。

 

試験は年齢ギリギリまで受験し続けた。

 

彼女との約束を果たせなかった。

 

最後の不合格通知が届いた時、自分で人生を終わらせて、生まれ変わって、再度採用試験を受験しようと考えてしまった。

ごめん彼女◯◯。本当にすまない事をしてしまった。彼女を2回も殺してしまうほどの約束も守れない男になってしまった。

 

その頃、バイト先のマネージャーから、エリアマネージャーやってみないか?とお声がかかった。

 

バイトじゃなく正社員で、東海4県のエリアマネージャーとして、頑張らないか?君の苦労も知っているし、過去のことも理解してだぁ。気持ちが辛い時は、休んで良いし、売り上げと、苦情処理と、在庫の管理と、人事的な部分をしっかりしてもらえれば、それで良いからと。

 

彼女の事や、警察官採用試験の事で世話になった警察官の方や、リピートのお客様などに世間話をお互いしていたので、今携帯の販売の現場にいなくなっちゃうの?とか、もっと上のサービスしたいって言ってた君なら、全部受付できるお店に就職した方がいいんじゃないかとアドバイスされ、私は大手キャリアのドコモショップの門を叩いた。